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産経新聞・正論「増税の前にやるべきことがある」

1月19日付け産経新聞・正論欄に寄稿致しました。

                                                                                       
 野田佳彦首相が、「不退転の決意」で「政治生命をかけた」消費税増税が通常国会最大の課題だ。

                                                                                       政権公約撤回し真摯に謝罪を

 首相は「耳あたりのいいことを言って国民の歓心を買う政治ではなく、選挙が厳しくなるかもしれないが、辛いテーマも理解いただける政治を日本につくれるかの正念場だ」と言うが、「耳あたりのいい」「国民の歓心を買う」ことをいって政権をとったのは、ほかならぬ民主党ではなかったか。本心からそう思うなら、まずマニフェスト(政権公約)を撤回し、国民に真摯(しんし)に謝罪すべきだろう。

 読者の方には、政権公約の中の「民主党政権が政策を実行する手順をご説明いたします」というページを読み返していただきたい。無駄遣いの排除と予算の組み換えで平成25年までに16・8兆円を生み出し、子ども手当、高校授業料無償化、年金改革、医療、介護、農家戸別補償、ガソリン税引き下げ、高速道路無料、雇用対策、最低賃金引き上げ、後期高齢者医療廃止を実行すると謳(うた)ってある。

 問題は、その16・8兆円に子育て、年金、医療、介護、雇用という社会保障の政策が入っていたことだ。民主党の本来の主張は、消費税を上げずに社会保障改革もするということだった。歴史的政権交代をもたらした公約の財源に、消費税増税は含まれていない。

 次に、「社会保障と税の一体改革」を言うのなら、社会保障改革の案を具体的に提示すべきであって、改革は先送りして増税だけというのでは看板に偽りありだ。

 国内総生産(GDP)の2倍もの債務を抱える借金大国で財政再建をしようと思えば、社会保障を抑制して増税する以外にない。

 首相はまず、できもしない「月額7万円の最低保障年金」の年金改革を取り下げるべきだ。民主党が昨春取りまとめた試算では、その実現には消費税を15%まで引き上げなければならず、それでも、平均的サラリーマン所得(年間400万程度)以上の層では、年金(所得比例年金+最低保障年金)は現状より下がる計算になる。

議員百人、歳費5割削減せよ

 政府はこの試算を公表し、「月額7万円の最低保障年金」の年金改革はできないことを認めて謝るべきだ。素案では、平成25年に年金改革法案を出すとしているが、いつまで国民を欺き続けるのか。

 実現可能性のない年金改革を掲げ、2年後に法案を提出する予定だなどと言い繕い、「協議に応じろ」と呼びかけられても、野党として乗れないのは当然である。

 もちろん、GDP比2倍の借金は、票とおカネをくれる勢力におもねる政治をしてきたからであって、責任の大半はわが自民党にある。だから、自民党は下野したのであり、下野して当然だった。

 その反省をも込めていえば、社会保障を抑制して増税するという国民に大きな負担を強いる改革をする前にやるべきことがある。

 まずは、最高裁で違憲判決が出された一票の格差を是正し、政治家の都合による小手先の定数減でなく、衆院を中選挙区制にして、議員定数を100減らす抜本改革を提案する。

 次に、国、地方ともに公務員人件費の2割カット、さらに、政治家自らが覚悟をみせるという意味で、国会議員歳費の5割カットを提案したい。公務員の給料切り下げ分と国会議員の歳費は、基礎的財政収支(プライマリーバランス)が黒字化し、財政が健全化すれば、元に戻してもよい。赤字経営を続けながら役員が報酬を満額もらう民間企業は少なかろう。

 歳費を減らすと政治家が育たないと言う人がいるが、若手政治家が歳費の大半を政治活動につぎ込んでいること自体が問題なのであって、政治活動費については、その政治家の思想信条への共鳴者から広く浅く個人献金を集められるよう一定献金額まで無条件で税額控除できる制度に改めるべきだ。そもそも、政治家には、国家のために働くことに生きがいと誇りを感じる人がなるべきで、収入が少ないからなりたくないなどと言う人になってもらう必要はない。

社会保障改革は原則自立で

 社会保障改革でも、できるだけ国に頼らないことを前提とした制度を目指すべきだろう。例えば、相続税を支払う前に生前、国が負担した年金、医療、介護の全額もしくは一部を、相続財産中の金融資産の範囲内で国に返還することも一法だろう。終末期医療も自らの意思で拒否できる制度を整えたり、働く能力のある人には生活保護の代わりに雇用の場を提供したりすることも検討されていい。要は、社会保障を原則自立の例外と捉え直して、本当に国の手助けを必要とする人々を対象としたものに変えていく、ということだ。

 社会保障制度は国の根幹を成すもので、そこには自民も民主もない。正しい制度を構築できなければ、道義大国は実現しない。しかし、これらの大改革を断行するには強い政府でなければならない。破綻した公約の上に築かれた砂上の楼閣政権には、大なたなど振るえるわけがない。公約撤回-謝罪から始めるほかないのである。

平成24年 稲田朋美年賀会ご挨拶

1月8日、福井にて年賀会を開かせて頂きました。
その際のご挨拶です。

                                                                                      「あけまして おめでとうございます。
今日は大勢の方々にお集まりいただき、誠にありがとう存じます。
本年もよろしくお願いします。
昨年は、東日本大震災、原子力発電所事故など国難ともいうべき試練がわが国を襲いました。今年がわが国にとっても福井にとっても皆さんにとっても幸せな年であることを願っています。 

〈マニフェスト違反〉

自民党が下野し、民主党政権が誕生してから、今年で三度目の新年です。
政権交代に対する国民の大きな期待は既に失望に変わり、怒りになっています。
政権交代のマニフェストに太文字で書いてあったことは何一つ実現せず、書いていないTPPと消費税だけをやるというのですから、こんなデタラメはありません。
本来マニフェストはやることを書くものですが、やらないことを書いたのが民主党マニフェストでした。

新年があけて、地元を回っていますと、マニフェスト違反や民主党の批判はやめるべきだという意見をたくさんいただきます。私もそのとおりだとおもいます。

ただ、選挙でいい加減なことを言い、政権をとったら180度違うことを言って許されるなら、日本は民主主義国家であることをやめなければなりません。

自民党は消費税10%を公約として選挙に敗れて下野しました。民主党は、消費税を上げなくても財源はいくらでもある、政権交代したら16,8兆円財源を出して、年金も医療も介護もできるといって政権をとったのです。今になって消費税増税、税率10%と言い出し、結論が同じであるから協議しろとか反対するなという人もいます。しかし、民主主義というのは結果ではなく、手続きが適正であることなのです。選挙で選ばれた人が立派であれば、選挙の不正は不問にするとすれば、民主主義の否定でしょう?違法に収集した証拠は犯罪の基礎にできないのも民主主義だからです。それと同じです。結果さえよければよいという考えは、実は野蛮なことなのです。

だから民主党の消費税増税には反対です。野田総理は、野党時代、消費税を増税しなくても社会保障は大丈夫だといっていたのです。いつから「不退転の決意で増税する」となったのか。財務官僚にあやつられているとしかおもえません。

 さらに、増税するならその前にやることがあります。
議員定数を思い切って削減しなければなりません。福井に9人もの国会議員はいりません。勝っても負けても国会議員、というのは国民の理解を得られません。
 国家公務員の給料を2割削減するのなら国会議員の歳費も5割削減すべきです。借金大国なのですから、プライマリーバランスが黒字化するまで国会議員の歳費を半分にすればよいのです。身を切る改革をしてはじめて国民に負担をお願いできるのではないでしょうか。

〈TPP〉

 TPPもマニフェストにはありませんでした。TPPというのは単に関税を下げるとかいう問題ではありません。国柄を変えるかどうかの問題なのです。
 そしてこれもまた民主主義の危機の問題でもあります。日本の国会で決めた法律や規制がグローバリズムに反するといってアメリカから国際裁判所に提訴されるということは日本の立法権、司法権の侵害になり、日本の民主主義の否定につながるからです。

しかし、野田総理はすでにTPP交渉に参加することを国際社会で表明しています。TPPに参加するなら覚悟が必要です。TPPの前提は自主防衛です。自主防衛ができる国でなければ真の外交交渉はできません。

昨年8月、私は韓国に入国しようとして拒否されました。不当かつ非礼な行為です。友好国の政治家が正当な目的で、正式に入国手続きをしようとして拒否されたのですから。なぜ韓国は私たちの入国を拒否したのか。私たちが竹島を日本の領土と主張する日本の政治家だからです。つい最近、韓国は、日本の外務省を通じて今後、私たちが政治目的でなく入国するときには入国を許可しますといってきました。失礼な話です。政治家が公務で外国を訪問するのは「政治目的」以外にありません。韓流スターに会いに行くなら入れてくれるとでもいうのでしょうか?
北方領土も同じです。ロシアのプーチンさんは、北方領土は第二次世界大戦の結果であって交渉の余地はないといっています。ロシアに北方領土の領有を主張する一片の正義もありません。
尖閣もそうです。中国は尖閣を自分の領土と思い違いをしているのではなく、日本の領土と百も承知で取りに来ているのです。
北朝鮮はわが国同胞を多数拉致して返そうともしない、ならず者国家です。

このような国々に囲まれているのが日本だという認識をもたなければなりません。

ところが、わが国の憲法の前文には、わが国の安全と存立を諸外国の信義と公正にゆだねると書いてあります。欺瞞であり、まやかしです。戦後日本の閉塞感の真因はこの自己欺瞞にあります。この憲法を変えなければ、日本は独立国になれず、TPPに参加してもアメリカにいいようにされるだけです。

このまやかしに、見て見ぬふりをしてきたのが自民党政治でした。ずっと、無効の憲法を押し戴いて国ごっこをして、経済優先でのみ政治をしてきたのです。すべてが経済優先、物質的生活のため、お金のため、票のために正しい政治をしてこなかった。民主党デタラメ政治を生んだのは自民党なのです。そのことをわが党は反省し、変わらなければなりません。

 結局今の閉塞感はすべてまやかしが原因なのです。見て見ぬふりをし続けて65年、正義も勇気もありません。すべてが、経済、お金です。日本を救うのは、この欺瞞を打破することでしかありえません。正しいことをみんながすることです。

 まず政治家が正しいことをしなければなりません。何のために政治をやっているのか。お金のためでも、票のためでも、次の選挙のためでも、自分が政治家でありつづけるためでもなく、正しいをことする勇気を政治家が持たなければなりません。

〈道義大国日本の創造〉

 私の夢は、福井から日本を変え、日本から世界を救うことです。
日本福井化計画は単に日本を再生するだけでなく、世界を救うことだと確信しています。福井人の誠実、勤勉、信義を重んじる生き方、汗を流したものが報われ、拝金主義に毒されることなく心豊かに生きる、家族を大切にし、地域を大切にし、国を想うまじめな福井人の生き方がこれからの日本の価値観となり、世界の価値観にならなければなりません。

 日本は中国でもアメリカでもない、道義大国を目指すのです。

今年は、道義大国創造のための具体的な政策を福井から発信していくつもりです。政治が正しいことをする、道義大国を実現するために闘うことをお約束し、私の挨拶といたします。
ありがとうございました。」

産経新聞・正論「普天間のツケをTPPで払うな」

11月7日付け産経新聞・正論欄に寄稿致しました。

                                                                                         
 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)議論が沸騰している。

 TPPは全てのモノの関税を原則即時撤廃し、サービス、貿易、投資、労働などを自由化することを目標とし、現在9カ国が交渉中だ。当然ながら、交渉参加国それぞれに思惑がある。例えば、米国は、アジア太平洋地域への輸出と国内雇用の拡大、地域でのリーダーシップの強化を狙っている。

 ≪なし崩し的な譲歩必至の交渉≫

 では、日本の戦略は何なのか。イメージ先行で抽象的な決め付けではなく、冷静かつ戦略的な見極めと判断が必要だ。「バスに乗り遅れるな」と推進派は言うが、バスは乗り遅れるかどうかよりも、「行き先」が重要である。「行き先」が分からない、しかも間違いに気づいても途中下車できないバスに国民を乗せてはならない。

 TPPが、将来の日本の国柄に重大な影響を及ぼすことは明らかで、交渉に参加するなら、国会での十分な議論が不可欠だ。だが、どうやら衆院予算委員会で1日だけ集中審議し、12日からのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会合で野田佳彦首相が交渉参加を表明するらしい。外務委員会で玄葉光一郎外相に質(ただ)したが、参加決定手続きは未定、最終的には首相判断という曖昧答弁だった。

 もともと、民主党は、昨年の参院選のマニフェスト(政権公約)でも全くTPPに言及せず、菅直人前首相の昨年10月の所信表明で突如浮上してきた。しかも、今に至るまで、交渉参加の原則的な方針すら決まっていない。コメにかける関税をどうするのか。輸入食品、医薬品、化粧品の安全基準はどうなるのか。海外の弁護士や外国人労働者の規制なくして、国民の生活や雇用は大丈夫なのか。

 農業をスケープゴートに議論を矮小(わいしょう)化せず、ISD条項(投資家と国家間の紛争条項)による司法権、立法権の侵害の問題や最大の非関税障壁とされる国語は守れるのかという文明の危機の問題として議論しなければならない。正確な情報も発信されず、交渉に参加すべしとか、ルールを作るとか、途中で脱退できるのできないの、と抽象的な議論に終始しているようでは、全てをなし崩し的に譲歩することになるのがオチである。

 ≪取り返しつかぬ外交の失政≫

 民主党は小泉構造改革による格差拡大を批判して政権を取った。それがなぜTPP推進なのか。壊滅的な打撃を受ける農業についても、平成21年の衆院選などで、自民党の規模拡大農政は零細農家を切り捨てると批判し、戸別補償で全農家を救うと豪語して農村票を取り込み、政権交代を果たした。TPPによる自由貿易と競争力強化そして規模拡大を核とする農業構造改革を訴える資格はない。

 さらに、普天間の失政の埋め合わせにTPPを利用することは国益を大きく損なう。子ども手当、戸別補償、高校授業料無償化、高速道路無料化の、いわゆる4Kに代表される大衆迎合的な財源なきばらまきは、自民党が政権を奪還して、やめればすむ。だが、外交の失政は取り返しがつかない。

 民主党政権の最大の失政は普天間と尖閣だ。普天間飛行場の県外移転というできもしない公約で日米関係をがたがたにし、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件での弱腰外交で世界中から足元を見られている。閣僚は竹島も北方領土も「不法占拠」と言えなくなった。韓国は竹島に次々に構造物を造り、ロシアは大統領が北方領土を訪問したが、日本はまともに抗議すらできない。こんな民主党に国益がかかる外交を任せておけようか。

 ≪日本独自の対外発信の放棄だ≫

 TPPは米国の輸出拡大と雇用創出のためにある。普天間で怒らせた米国のご機嫌を取るために交渉に入るとすれば、政権維持のために国を売る暴挙だ。これ以上の失政の上塗りはやめるべきだ。

 日本は中国でも米国でもない「道義大国」として独自の価値観を世界に発信する責務がある。だから、日米同盟は重要だが、「中国を囲い込む」という理由で、米国に同化するわけにはいかない。米国で今、大きな社会問題になっているウォール街占拠デモは、米国の強欲資本主義の歪(ゆが)みによるもので、ある種の共感を覚える。

 日本は一握りの極端に裕福な人と多数の貧しい人の国ではなく、額に汗し努力した人が報われる、頑張りながら報われなかった人も助ける社会を目指すべきだ。日本型資本主義は、富を創出し、社会を豊かにした人が豊かになるものでなければならない。コンピューターを駆使した不公正な株取引や法の不備をついて巨額の富を得ることが称賛されることなく、「不道徳」と指弾される国である。

 日本は「儲(もう)けたもの勝ち」「何でもあり」を是正し、カジノ資本主義を正す責務がある。TPP参加は、そういう役割を自ら放棄することになる。なぜなら、TPPは米国の基準を日本が受け入れ、日本における米国の利益を守ることにつながるからだ。それは、日本が日本でなくなること、日本が目指すべき理想を放棄することにほかならない。TPPバスの終着駅は、日本文明の墓場なのだ。

産経新聞・正論「行動が伴わない『どじょう』宰相」

9月22日付け産経新聞・正論欄に寄稿致しました。

                                                                                       「行動が伴わない『どじょう』宰相」
 野田佳彦首相が財務相だった7月、財務金融委員会で「もし野田大臣が総理になられたら…」という質問を3つした。まず外国人地方参政権付与には反対だと明確に答弁し、次に集団的自衛権の行使は認めるべきだと答えた。が、最後に首相の靖国参拝について尋ねたところ、「慎重にならざるを得ない」と言うのでがっかりした。

 ≪なぜ靖国に参拝しないのか≫

 菅直人前首相がひど過ぎたのと野田首相が「『A級戦犯』は戦争犯罪人ではない」という歴史認識の持ち主なので、保守層には期待する人も多いが、なってからの行動が伴わないとすれば罪は深い。野田政権は集団的自衛権の行使は認めないとの従来の政府見解を引き継ぐと明言した。外国人参政権も菅氏と全く同じ曖昧答弁だった。すでにしてブレているのだ。

 野田首相はかつて「『A級戦犯』と呼ばれる人たちはもはや戦争犯罪人ではないのであって、戦争犯罪人が合祀されていることを理由に内閣総理大臣の靖国参拝に反対する論理はすでに破綻している」と主張し、「『A級戦犯』は戦争犯罪人と認識している」と述べた小泉純一郎首相が靖国参拝したことを、「パフォーマンスにすぎない」と厳しく批判していた。

 野田氏の歴史認識は正しい。小泉首相は行動は正しかったが、理論は誤っていた。東京裁判は、ポツダム宣言の条件にも近代法の大原則である罪刑法定主義にも悖(もと)る、二重に国際法違反であり、裁判の名に値しない復讐(ふくしゅう)の茶番劇だった。「A級戦犯」を戦争犯罪人とすることは茶番劇を日本人が正当な裁判と認めたことになる。中韓両国にとって靖国問題はまさしく「A級戦犯」問題であり、「A級戦犯」が合祀された靖国を参拝することは侵略戦争を美化することだというのだ。

 野田首相が「A級戦犯」を戦争犯罪人ではないと言うのなら、正しい歴史認識を世界に発信するため靖国に行くべきである。ところが、就任後の記者会見で、「これまでの内閣の路線を継承し、首相、閣僚の公式参拝はしない」と明言した。「国際政治などを総合判断することが必要だ」からだそうだ。有言不実行、結局、首相の歴史認識はニセモノだったのだ。

 ≪たらい回し批判の資格ありや≫

 野田氏は福田康夫首相誕生の時、「自民党内での政権のたらい回しは国民の意志ではない。国民の信を得ていない政権は早晩行き詰まる。国民のための政治を実現するため一刻も早く解散・総選挙を行うべきである」としている。

 安倍、福田、麻生と選挙をしない首相が続いたときには「日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦および先の大戦、いずれも日本にとっては国難とも言うべき時期に、わが国はきちんと選挙を行ってきたという歴史だ。『政局よりも景気』『危機の時に政治空白をつくるな』と政府・与党の中からもっともらしい意見が出ているが、国難の時こそ民意を問うのが筋なのだ」と述べていた。鳩山、菅、野田と政権をたらい回しにしてきたのは何なのか。

 平成19年の参院選で自公政権が「消えた」年金記録照合を3月までに行うと約束して約4割が特定困難だった点を指摘、「公約偽装政権は即刻退陣を」さらには「国民にまずは謝罪し、きちんと責任とるのが筋」と主張していた。

 ≪政権公約の財源どこに消えた≫

 政権交代したときの民主党の詐欺的マニフェスト(政権公約)は「消えた」年金記録どころではない。無駄を排して9・1兆円、天下りを廃止して12・1兆円、予算を組み替えて「20兆円・40兆円」すぐに捻出でき、子ども手当、高速道路無料化、高校授業料無償化、農家の戸別補償など約16・8兆円の政策が実現するとしていた。その財源はどこへ行ったのか。まさに「消えた財源」だ。

 首相の言を借りれば、公約偽装の民主党政権は国民に謝罪し責任をとってさっさと退陣すべきだ。

 野田氏は9兆円の税収減(リーマン・ショック)、ねじれ国会、震災を「消えた財源」の言い訳にしているが、16・8兆円は無駄排除と予算組み替えで実現するはずだったので、税収減もねじれも震災も関係ない。できるはずもなかった財源をあると言ったのだ。

 平成21年8月には、「マニフェストに載せたことは命がけで実現する、載せなかったことには基本的には手をつけない。この意義がわかっていない自民党には、そもそもマニフェストを語る資格がない」と痛罵もした。だが、三党合意で子ども手当は廃止され、マニフェストになかった消費税増税については、実施前に信を問うから問題ないと詭弁を弄して、着手しようとしている。紛れもないマニフェスト違反である。いつまでごまかしの政治をするつもりか。

 政治家を養成する「塾」では政治家になるすべは教えても、首相になってなすべきことまでは教えなかったのか。たとえ思想が高邁(こうまい)でも人生の最終目的は思想ではなく行動だ(トーマス・カーライル)。「どじょう演説」で高支持率を得た野田氏が、首相として何をやるのか国民は見ている。

野田新政権について

民主党政権になって三人目の総理大臣が誕生した。民主党代表選のときのどじょう演説が効いたのか、菅総理があまりにもひどかったことへの反動なのか、70パーセントの内閣支持率だそうだ。今、野田総理は、「震災復興に時間がかかる。だから解散・総選挙で政治空白はつくれない」といっている。しかしその同じ野田氏が野党時代夕刊フジに連載していた記事でなんと書いていたか。自民党の総理が安倍、福田、麻生と選挙をしない総理が続いたことを批判して「政局よりも景気」「危機の時に政治空白をつくるな」と政府・与党の中からもっともらしい意見が出ているが、国難のときこそ民意を問うのが筋なのだ」と。まさしく正論だ。政治家が日ごろ主張してきたことを実現できる権限を持ったときにやらなくて、何のために政治家になったのか。それくらいのことは政治家になるための「塾」で教えられている筈だ。野党時代正論を言い続けた野田総理の行動を注目している。

8月30日 自民党 全議員・選挙区支部長懇談会

民主党野田代表選任を受けて自民党両議院議員、支部長懇談会が開催されました。次のような発言をしました。

 私たちが目指すべきことは二つ、衆議院解散と民主党の解党です。民主党は政党ではありません。綱領もなく、子ども手当てを配れなかったのは、震災のせいでも円高のせいでもありません。マニフェストの財源がうそだったからです。うそのマニフェストで政権をかすめとった民主党に政権の座にいる正統性はありません。また、政権をとるまえ三年間に民主党の関連団体から極左の団体に2億円以上のお金がながれ、そのお金を使って政権をとった。その極左団体はマルクスレーニン主義と毛沢東思想で日本に革命を起こす、天皇制を廃止する、そのために自公政権を倒すといっていた団体です。民主党の中心は極左であることが明らかになりました。このような政党と連立はできません。大連立は「例外中の例外」ではなく、「ありえない」といってもほしい。民主党と連立がくめるのなら、韓国とだって連立が組めます。
民主党との違いは何か。総裁も野田代表も国民からみれば、誠実です。でもうちの総裁は正真正銘の誠実、野田代表はエセ誠実です。そして民主党はばらばら、私たちは議論はしても一致団結、谷垣総裁のもとに一致団結して衆議院の解散と民主党の解党をめざしましょう。

8月29日  民主党代表選のあと地元紙によせたコメント

野田代表に期待することは二つ。明日総理になられれば、即刻衆議院を解散することと民主党を解党することだ。政策論争なき反小沢親小沢のいすとりゲームの結果誕生した代表に総理の資格はない。綱領もなく、政権交代の理念もすて、代表選で復興、経済対策などこの国をどうするか、誰も具体的に語れない民主党は政党ではない。二年間国民に約束したことは何ひとつ守らず、一致結束したのは反自民の一点のみ。大連立も有り得ない。

産経新聞・正論 「領土守るは強い意思と行動だ」

8月18日付け産経新聞・正論欄に寄稿致しました。

「領土守るは強い意思と行動だ」                                             
                                                                                       
 竹島は歴史的にも国際法上も我(わ)が国固有の領土である。韓国が領有していたことは歴史上ただの一度もない。現在、韓国が占有し、事実上支配しているが、何ら法的根拠のない、不法占拠である。

 ≪建造ラッシュは韓国の焦り≫
 最近、韓国は竹島の住民宿舎を拡張し、5日に竣工(しゅんこう)式を行った。12日には、韓国国会の「独島(竹島の韓国名)領土守護対策特別委員会」を竹島で開催する計画があった(天候を理由に中止)し、閣僚5人が竹島を訪問している。その他、海洋科学基地建設、防波堤事業、ヘリポート改修工事など、日比谷公園大のこの島に取り憑(つ)かれたように建造物を築き、実効支配を強化しようとしている。そこに韓国側の焦りが見て取れる。
 私たちに対する1日の入国拒否も焦りの表れとしか思えない。友好国の国会議員が視察目的で通常の適正な手続きで入国しようとしているのを拒否するなど、あってはならないことだ。私たちは竹島そのものを訪れようとしたのでも竹島を返せと主張しに行ったのでもない。自民党の領土に関する特命委員会の決定で、鬱陵(ウルルン)島の独島記念館を視察し、韓国の政治家や有識者と意見交換をしようとしたにすぎない。だが、韓国のこの理不尽な行為により、図らずも日韓の間に竹島をめぐる領土問題が存在することを国際社会に認知させる結果となった。
 韓国政府が入国拒否の法的根拠としたのは、入管法が謳う「大韓民国の利益や公共の安全を害する行動をする恐れがあると認めるに相当の理由がある者」だという。テロリストをはじめとする公共の安全を害する危険人物と見なされたわけだ。もっとも、韓国側の当日の説明は、激化した韓国内の抗議デモにより私たちの身の安全を確保できないということだった。韓国の警察はそれほどお粗末なものなのか。公共の安全を害していたのは、私たちの写真を燃やしたり、日本の国旗を引き裂いたりしたデモ隊の方ではなかったか。

 ≪領有権主張だけで入国拒否?≫
 もとより、誰を入国させるかはその国の主権国家としての自由である。だが、友好国の国民代表の入国を拒否するのであれば、正当な法的根拠を示すのが民主主義・法治国家としての礼儀だろう。韓国政府が示した「テロリスト」条項の適用など到底納得できない。日本にも同様の条項があるが、それに基づき入国を拒否したのは過去1回だけで、あくまで最後の最後に使うと法務省は強調する。


 真の拒否理由は、私たちが竹島は日本固有の領土だと唱える政治家だという点にあったのだろう。実際、韓国の弁護士会は「1910年8月29日から1945年8月15日まで、日本政府、日本政府と同盟関係にあった政府、日本政府の優越な力が及んだ政府の指示またはその国家と連携して人種、民族、宗教、国籍、政治的見解などを理由に、人を虐殺虐待することに関与した者」という入管法の規定を適用するよう求めている。
 竹島を日本の領土だと主張することは、「日帝侵略」を美化し賛美することであり、典型的な入国拒否事由に当たるというのだ。驚くべき時代錯誤というほかない。竹島は韓国にとり単に領土の問題ではなく、歴史認識、民族の自尊心の問題であることが分かる。
 ところで、日韓双方の出入国管理法には、相互主義に基づく規定がある。相手国が法律に列挙してある事項以外の理由で自国民の入国を拒否した場合、同様に相手国民の入国を拒否できる。韓国側の本当の入国拒否理由が、竹島は日本の領土だという私たち政治家の主張にあったとすれば(そうとしか考え難い)、竹島を韓国領と主張する韓国の政治家の入国を、我が国は拒否できることになる。

 ≪尖閣の“竹島化”を阻止せよ≫
 例えば、竹島で委員会開催を予定していた韓国の独島守護委員会の姜昌一(カンチャンイル)委員長と他の2人の国会議員は今年5月、ロシアのビザで北方領土を訪問した。5人の閣僚も竹島を訪問している。我が国固有の領土に我が国の許可なく侵入した不法入国であり、彼らの入国拒否も対抗手段として可能だ。
 日韓両国の正式な場で早急に、竹島問題の議論を開始しなければならない。そのために国会に竹島特別委員会を、内閣には竹島対策室を設けるべきである。ただし、話し合いでの解決は難しかろう。過去2回とも、韓国の反対で付託を果たせてはいないものの、国際司法裁判所にこの問題を提訴することも並行して試みるべきだ。
 韓国による竹島の実効支配は、自民党政権下で領土防衛のための自衛権を行使しなかったことの帰結でもある。尖閣諸島の“竹島化”を何としても防ぐためには、断固、領土を守る意思と行動が不可欠だ。竹島、尖閣、北方領土の領有の正当性を、学校できちんと教育することも始めなければならない。これらの島の位置も理解されていないのでは話にならない。
 行動しなければ何事も始まらない。その行動はしかし、続けていかなければ意味がない。強い意思と毅然(きぜん)とした行動なくして領土を守ることはできないのである。

韓国による入国拒否

 8月1日に鬱陵島視察のために訪れた韓国での入国拒否について、国家基本問題研究所・今週の直言(平成23年8月8日)に寄稿したものをご紹介します。

                                                                                       〈竹島問題を日韓で議論しよう〉
自民党の「領土に関する特命委員会」で韓国鬱陵島を視察することになった。目的は、我が国固有の領土である竹島を事実上支配している韓国が竹島の領有問題についてどのような認識でいるかを、鬱陵島に存在する独島記念館を視察することにより知ることだった。その上で韓国の政治家や学者と意見交換しようという企画で、国会議員として何の問題もない視察だった。
 私が参加を決めたのは7 月初めで、視察団のメンバーは、団長新藤義孝衆議院議員、平沢勝栄衆議院議員、佐藤正久参議院議員と私の4 人。ところが、出発の半月前ごろから韓国内で抗議運動が激化し、私たちの写真が燃やされ、日の丸が引き裂かれ、韓国の日本大使館の前で連日デモが行われた。その興奮ぶりは異常ともいうべきもので、警察高官から私に危険だからやめた方がよいと個人的に助言があったほどだ。
●入国拒否理由に矛盾
 自民党に対しても韓国側から圧力があったのか、28 日に幹事長から国会日程を理由にストップがかかった。
 結局、衆議院側の請暇願い(会期中、海外渡航する際の許可)は党の許可が下りずに院に提出されず、参議院の佐藤議員だけ請暇が了承された。
 8 月1 日午前、新藤団長、佐藤議員、私の3 人が韓国金浦空港に着くと、飛行機から屈強の護衛に囲まれて二重扉の応接室のような所に連れて行かれた。そこへ空港の入国事務所の女性所長が来て、入国を禁止すると通告された。
 その理由は「大韓民国の利益や公共の安全を害する行動をする恐れがあると認める相当の理由がある者」(出入国管理法11条1項3号)に当たるからという。ところが、所長が説明した入国拒否の理由は、私たちの身辺の安全を確保できないことと、二国間の関係に悪影響を及ぼすという2 点だった。
 奇妙なことに、所長の説明と適用条文は正反対の内容だった。私たちが危険にさらされるという理由で、私たちが危険人物(テロリスト)という条文を適用したのだから。
●見せかけの友好に決別を
 日本にも入国拒否理由として同じ内容の条文がある。法務省の説明では、これはまさしく伝家の宝刀で、最後の最後に適用する。日本では過去1 回しか適用したことがないということだった。
 なぜこの条文を韓国はあえて使ったのか。私の推測だが、この条文を使わずに、法律に規定のない理由で入国拒否をした場合、された側の国は、同じ理由でその国の人間を入国拒否できる。「法務大臣は、本邦に上陸しようとする外国人が前項各号のいずれにも該当しない場合でも、その者の国籍又は市民権の属する国が同項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否するときには、同一の事由により当該外国人の上陸を拒否することができる」という規定が日本にあるからだ。つまり韓国が私たちのことを、竹島の日本領有を主張する政治家だから入国を拒否したとなれば、日本は竹島の韓国領有を主張する韓国の政治家の入国を拒否できるのだ。だからあえてテロリスト条項を使ったのではなかったか。
 今回、友好国であるはずの韓国から入国拒否されるという異常事態になったことは残念だが、これを機会に竹島を日韓の議論の場に持ち出し、見せかけでない真の友好国になる一歩になれば幸いだと思っている。

文部科学部会にて(2)

前回に引き続き、核燃料サイクルと高速増殖炉(もんじゅ)のあり方について文部科学省から補足説明がありました。
わたしも、前回に引き続き、次のような質問をしました。

(1)もんじゅの方が軽水炉よりも安全であるかのような説明がありましたが、それは間違いないのですか。
(2)名古屋高裁金沢支部で、もんじゅについて国に安全性の立証責任を負わせて、国側を敗訴させる判決が出たことがありますが、同じ判断基準が軽水炉の原子力発電所に適用された場合、結論も同じになるのですか。
(3)今後、裁判所が名古屋高裁金沢支部のような判断をした場合に、それでも安全だといえるような安全対策を取っているのですか。
(4)以前に受けた説明では、高速増殖炉が世界的に広がらない理由は主にコスト面の問題と聞きましたが、それで間違いないですか。安全性の問題ではないのですか。
(5)福井にはもんじゅ以外に敦賀、大飯、美浜など多くの原子力発電所があるので、開発面でも安全面でも最高の人材をより多く集めるべきではないですか。
(6)ストレステストについて、もんじゅは特殊な原子炉ですから、他の軽水炉とは異なるテストが必要になるのではないですか。
(7)もんじゅについて、ナトリウム以外の冷却材は研究開発していないのですか。

文部科学省は、(1)について、福島のように全電源喪失した場合にはもんじゅの方が軽水炉よりも安全だが、それ以外の場合には、全体的にどちらが安全とは一概にいえないと答えました。
(2)(3)については、危険性がゼロであるという立証は難しく、個別具体的な事案ごとに裁判所で判断されると思うが、どう対応するかは今後検討すると答えました
(4)については、一部開発中の国以外の国では、まだ軽水炉を開発中の段階で、その後高速増殖炉まで開発するかどうかはそれぞれの国の政策の問題であるとの回答でした。
(5)については、もんじゅには開発政策上の位置づけもあり、人材を供給しているとの回答でした。
(6)については、経済産業省から、ストレステストは想定外の地震や津波などが起こったときに、原子力発電所がどのようになるかをテストするもので、想定する外部の力は同じなので、テスト自体も同じになるという説明がありました。
(7)については、回答がありませんでした。
 今回は時間切れとなってしまいました。次回も引き続き、もんじゅについて議論することとなりましたので、私も改めて安全性について確認を求めたいと思います。

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