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平成28年7月28日(木) 夕刊フジ【伝統と創造】憲法改正で民主主義は強化される 民進の自民批判はおかしい

7月22日、私は首相官邸を訪れ、菅義偉官房長官に面会し、自民党が取りまとめた新たな経済対策を申し入れた。中長期的な観点を重視し、「未来への投資」を意識した内容だ。具体的には、産業構造改革、働き方・労働市場改革、人材育成の一体改革に取り組むことを明記した。

新婚生活支援などの少子化対策や保育所整備をはじめ、農産物の輸出体制の強化、中小企業の資金繰り支援など充実したメニューが並んでいる。新たな産業の創出、「イノベーション」を生み出せるような施策も盛り込だ。
アベノミクスの3本目の矢である「成長戦略」を推進する具体策であり、赤字国債の発行を前提としていないのも特徴だ。詳細はぜひ党のホームページで確認してほしい。わが党は、政策を迅速に実行して国民の期待に応えていく。

さて、参院選を経て、憲法改正に焦点が当たり始めている。衆参で与党を含む改憲勢力が「3分の2」を超えたことが大きな要因だろう。国民の意識の中に憲法改正が入りつつあるのは喜ばしいことである。
この機運を逃してはいけない。衆参で安定した議席を得ている状況だからこそ、落ち着いた議論ができるからだ。
憲法改正は自民党の結党以来の党是であり、悲願である。もちろん、自民党だけが取り組む話ではない。今後、国会の憲法審査会を中心に与野党がしっかりと議論を積み重ねるべきだ。賛成、反対は別にし、国民の議論の深まりも重要だろう。

一方、ここで気になるのは、憲法改正をめぐる野党、特に民進党の姿勢だ。
「安倍首相のもとでの憲法改正議論は憲法の破壊」「3分の2阻止」と公言していた民進党の岡田克也代表が、参院選後に突然、条件付きで憲法改正議論の容認に転じたのだ。
これはずいぶんぶれたとしか言いようがないが、岡田氏が議論に前向きであるならば大歓迎だ。入り口でケチをつけることはやめて、具体的な議論に入ろうではないか。

わが党の「憲法観」に対する民進党の批判に関しては、議論をねじ曲げたおかしなものが多い。岡田氏は、われわれに「押しつけ憲法論」を撤回せよと言っているが、日本の主権が制限されたGHQ(連合国軍総司令部)占領時代に現憲法が制定されたのは、紛れもない歴史的事実だ。

また、わが党は立憲主義を正しく理解しており、平和主義、国民主権、基本的人権の尊重など、憲法の大原則は変えない。憲法制定から70年が経過しており、時代に合わせて、憲法改正を果たすことで、日本の民主主義がより強くなるのは明白だ。与野党で、具体的かつ建設的な憲法論議を行っていきたい。
(自民党政調会長)

平成28年7月14日(木) 夕刊フジ【伝統と創造】民進の農業政策はデタラメ

今回の参院選で、自民党は安倍晋三首相が目標に掲げた「与党で改選過半数」を達成した。国民が安倍政権の継続、アベノミクス推進を望んでいるのは明白だ。

 安倍首相は早速、石原伸晃経済再生相に経済対策の策定を指示した。与党としても早期に提言をまとめることになる。安倍首相は会見の中で「未来への投資」を強調されており、一時的な消費喚起ではなく、雇用、社会保障、人材育成の分野を中心とした改革を加速させる、成長戦略に資するメニューを用意したい。

 さて、与党で改選過半数を確保したとはいえ、自民党の単独過半数には至らなかった。特に「1人区」では、自民党候補が予想以上に競り負けた。率直に受け止め、分析しなければならない。1人区で議席を取れなかった11選挙区を点検すると、東北や北信越などの農業県が目立つ。私の実感だが、これらの選挙区ではTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対するわが党の考え方や取り組みが浸透していなかった可能性が高い。そもそも、TPP交渉参加を最初に表明したのは民主党政権、菅直人首相のときだ。その際の菅首相の姿勢は、何の留保もない、真っ裸で交渉のテーブルにつくというものだった。

 そこで、野党自民党で反対運動が巻き起こり、何を守るかを明確にし、政権奪還の選挙では「聖域なき関税撤廃ではない」ことを公約に闘い、安倍首相が聖域なき関税撤廃ではないことを確認したうえで他国より遅れて交渉参加した。そして2年にわたるタフな交渉の結果、どの国よりも農業の関税は守ったのだ。

 さらに安倍政権はTPPを活用し、近隣アジアの海外市場をわが国の経済市場に取り込む「攻めの農業」を展開している。選挙戦では、農林水産物の「2020年輸出額1兆円」目標を前倒し、輸出を農林水産業の新たな稼ぎの柱とする公約を問うた。

  農業者の目線に立った農協改革でも成果を出してきた。しかし、それらの真意、実績が十分に伝わっていなかったようだ。一方、民進党は、財源の裏付けのない戸別所得補償の復活、法制化を主張しているが、これほどデタラメな政策はない。民主党政権時代、戸別所得補償の財源がなく、土地改良予算の7割を切って財源にした。民主党は政権を取っていた時代に財源のめどがたたず、法律にできなかったものを、野党に転落してから法律にするとデタラメをいい、農業票を取り込んだのだ。

  われわれは、農家の方々との意見交換を通じ、もっと政策の浸透を図る必要がある。選挙結果を受け、多くのメディアが「改憲勢力が3分の2になった」と報じている。もちろん自民党は立党以来、憲法改正が党是であるから、憲法議論が注目されることは喜ばしい。まずは、国会の憲法審査会で活発な議論をしていきたい。

 最後に、自民党は14日告示の都知事選で、増田寛也元岩手県知事を推すことを決めた。増田氏は「東京一極集中」に警鐘を鳴らし、東京から地方を応援する新しい方向性を打ち出した人物だ。期待している。(自民党政調会長)

平成28年6月30日(木) 夕刊フジ【伝統と創造】参院選 民進党と共産党の「野合勢力」と対決

英国でEU(欧州連合)離脱に関する国民投票が23日に行われ、離脱派が僅差で上回った。これを受け、円は高騰、日経平均株価も急激に値を下げた。安倍晋三首相は直ちに関係閣僚会議を開催し、党も私を本部とする緊急特別本部を設置した。週が明けて落ち着きを見せたが、金融市場の先行きを注視しつつ政府・与党一体となって対応していきたい。

参院選が中盤戦に入り、全国各地で遊説している。報道各社は「与党改選過半数」などと報じたが、私の実感では、断じてそんなことはない。特に32ある「1人区」は厳しい情勢だ。自民党は公明党とともに、最後まで死にもの狂いで戦い抜く覚悟だ。

今回の選挙戦で、われわれ政権与党は、民進党と共産党の「野合勢力」と対決しているが、26日のテレビ討論の場で驚くべき発言が共産党の政策責任者から飛び出した。

「自衛隊は違憲」なので「将来解消すべき」だが、「それまでの間、仕事をしてもらう」。さらには違う番組で「防衛費は人を殺すための予算」と言い放ったのだ。東日本大震災や熊本地震で自分の命を顧みず、昼夜人命救助と救援活動に当たった自衛隊員に感謝のかけらもないどころか、侮辱的発言をした。

この問題発言に対し、その場にいた私を含む与野党の政策責任者から抗議と訂正を求める声があがったが、民進党は沈黙し、黙認していた。

そもそも立憲主義をいうのなら、共産党の主張に基づけば、憲法違反の自衛隊を定めた自衛隊法も立憲主義違反になるはずだ。民進党は、立憲主義についての矛盾をどのように説明するのか。

さらに、「自衛隊解消」「日米安保廃棄」を標榜する共産党と共闘して、どうやってこの国を守るのか。民進党は国民に説明する必要がある。

ところで、「防衛費は人を殺す予算」発言は、消費税増税の再延期に伴う社会保障充実の財源をどうするのかをめぐる議論から飛び出した。

民進党の岡田克也代表は、先の党首討論で赤字国債を発行して社会保障を充実すると明言した。将来世代に借金をつけ回す、不道徳極まりない政策だ。今回選挙権を得た18歳以上の若者に恥ずかしくないのか。

自民党は消費税増税の再延期に伴い、本来延期せざるをえない社会保障の充実も、アベノミクスの成果や、さらなる改革でしっかり恒久財源を見つけて、優先順位をつけて充実していく。赤字国債には頼らない。

岡田氏は私と同様、夕刊フジでコラムを担当しているが、私は正式に岡田氏との紙上討論会を申し込みたい。岡田氏はテレビ党首討論を執拗(しつよう)に求めているが、わが党の経済政策や財政再建、憲法を、自分に都合のいい解釈で議論をゆがめているのは岡田氏だからだ。

しかも、岡田氏はNHKで2度も、私に関して「虚偽発言」を行ったのに、私の抗議にまともに回答していない。これが公党の代表としての態度なのか。コラム執筆者同士、紙上討論で決着をつけようではないか。  (自民党政調会長)

平成28年6月16日(木) 夕刊フジ【伝統と創造】自民党は無責任極まりない民進党とは違います

東京都の舛添要一知事が15日、辞意を固めた。舛添氏は「政治とカネ」の問題などについて、反省や釈明を繰り返してきたが、納得できる説明はなかった。世論調査でも、都民の8割が舛添氏の辞職を求めていた。

舛添氏といえば、自民党が苦しかった野党時代、後ろ足で砂をかけるようにして党を離れ、除名された人物だ。2020年の東京五輪開催にあたり、中心的な役割を果たすのが都知事である。後任には、都民、国民の期待に応えられる人物が選ばれなければならない。

さて、参院選が6月22日に公示される。最大の争点は経済政策であり、安倍政権が進めるアベノミクスが、着実に成果を出していることを国民にアピールしていきたい。

大企業のみならず、中小企業の企業収益も過去最高であり、有効求人倍率が史上初めて47都道府県すべてで1倍を超えた。賃金は3年連続で2%水準の伸びを続けており、パートの方々の時給も過去最高となった。非正規雇用にも、アベノミクスの恩恵が行き渡り始めている。

自民党はこのように数字に表れる成果を示しつつ、残された課題についても真摯(しんし)に向き合っていく。個人消費が伸び悩んでいるのは事実であり、消費税8%への増税の影響は大きかったと言わざるを得ない。

 個人消費が伸び悩んでいる理由は、将来への不安だ。求められているのは社会保障の持続可能性であり、本当に困っている人には手厚く、負担可能な人には相応の負担をしてもらう仕組みを構築しなければならない。

安倍政権は、消費税増税を19年10月にまで延期したが、そのかわり、今年末までにしっかりと財源を見つけていく。子育て支援などには優先的に予算を配分し、若い世代の将来への不安を払拭したい。

これに対し、残念なのが野党第1党の民進党だ。同党は、代替案を示さないまま「アベノミクスは失敗した」などと無意味な主張をいまだに続けている。見過ごせないのは、民進党が社会保障に関し、赤字国債を充てるべきだとした点だ。何の努力もせずに、将来に借金をつけ回すだけの不道徳なことを言っているのは、与野党通じて民進党だけだ。

そもそも、消費税を8%に引き上げることができたのは、安倍政権が経済を立て直したからである。民進党が与党なら、100年経っても増税はできなかったのではないか。

責任政党である自民党は、無責任極まりない民進党とは違う。具体的な政策を掲げ、真正面から国民に信を問うのが自民党だ。

(自民党政調会長・稲田朋美)

平成28年6月2日(木) 夕刊フジ【伝統と創造】民進党のような無責任なことはしない 増税延期は断固たる覚悟がある

5月26、27の両日行われた伊勢志摩サミットは、安倍晋三首相が強いリーダーシップを発揮し、議長国として責任を果たした。

印象的だったのは、各国首脳が静謐(せいひつ)で厳(おごそか)な伊勢神宮を訪れ、安倍首相が出迎えたシーンだ。私は海外で講演する際、「遷宮」を行う伊勢神宮をはじめ、日本の「神道」の世界について説明してきた。とりわけ、深い緑に覆われた伊勢神宮は神秘的で、まさに究極の「クールジャパン」である。サミットの舞台として世界中に発信されたことは実に喜ばしい限りだ。実際、好意的にとらえた海外メディアは少なくなかったようだ。

サミットでは「世界経済」が最大のテーマとなり、安倍首相は「リーマンショック以来の落ち込み」との現状認識を示した。そして、各国の事情を踏まえた機動的な財政出動、構造改革を加速することで先進7カ国(G7)首脳が足並みをそろえた。2008年のリーマンショックの教訓に基づき、危機回避に向けて各国が協調したことは大きな収穫だった。

サミットに先立ち、5月25日には日米首脳会談が行われた。安倍首相は、米軍属が逮捕された沖縄県の女性遺棄事件に関し、オバマ米大統領にしっかりと抗議し、日米地位協定についても「あるべき姿を不断に追求していく」と述べた。日本の立場を明確に主張したと思う。

そんな中、オバマ氏は米大統領として初めて広島を訪問した。サミット以上に国民の注目を集め、日米同盟は新たなステージに入ったのは間違いない。被爆した側と原爆を投下した側の首脳が一緒に広島に地を訪れ、祈りをささげたことは非常に意義があった。「核廃絶」のメッセージを行動で世界に示せたのではないか。

オバマ氏の広島訪問は、日米両首脳の信頼関係のたまものだ。安倍政権は平和安全法制を成立させ、日米同盟をかつてないほど「深化」させた。安定した安倍政権だからこそ、歴史的な訪問が実現したのだ。

さて、サミットの議論を受けて、安倍首相は消費税率引き上げを2年半延期することを決断した。負担増を延期するのだから、予定していた社会保障の充実も我慢するのは当たり前であり、赤字国債で充当するなどという民進党のような無責任なことはしない。

2年半延期する間に、世界経済の好転(リスク解消)を無為に待つのではなく、社会保障をはじめとする諸々の構造改革に果敢に取り組み、日本経済の体質強化にしっかりと取り組んでいきたい。その断固たる覚悟をもって、来たるべき参院選において国民の皆様の支持を得ていきたい。 (自民党政調会長・稲田朋美)

 

平成28年5月19日(木)夕刊フジ【伝統と創造】岡田さん、「うその上塗り」はおやめなさい 「発言していない」「事実無根」拒否する回答

民進党の岡田克也代表が、公共の電波を通じて虚偽発言を繰り返し、「うそ」の上塗りを平気で行っている。岡田氏は、今月3日のNHK討論番組で「(安倍首相が)わざわざ稲田政調会長に質問させて首相がこたえている」などと発言した。

私は安倍首相から質問するよう指示されたことなど一切ない。私は6日、岡田氏に発言の訂正と謝罪を求めたが、岡田氏は「発言していない」「事実無根」といずれも拒否する回答があったので、13日に再度、真摯かつ誠実な回答をなされるよう申し入れを行った。

岡田氏は、4月3日のNHK番組でも同趣旨の発言をしている。虚偽を述べたことは明々白々であるにもかかわらず、黒を白と言い張るやり方は公党の代表にあるまじき態度であり、断じて許されるものではない。うそを言われた同じ番組である、15日のNHK日曜討論で抗議したら、驚いたことに山尾志桜里政調会長が「言っていないことは言っていないと。正直にしっかり言っているのが岡田氏だ」と反論した。言ったか言っていないかは、ビデオを見れば一目瞭然。事実に基づいて訂正して謝罪していただきたい。

さて、自民党は現在、LGBT(性的少数者)の方々が抱える課題に向き合っている。私も、大型連休中に東京・代々木公園で行われた関連イベント「東京レインボープライド2016」に出席した。晴れ渡った青空の下、お祭りのような雰囲気で、LGBTの当事者でない人も多く参加したすばらしいイベントだったと思う。

ただ、残念ながら、私がイベントに出席することについて、一部で反発があったもようだ。「LGBTの話題を政治的に利用している」との批判も耳にした。

ここで、改めてこの問題についての自民党の立ち位置を説明したい。

政権与党であるわれわれは、差別のない社会の実現を目指している。LGBTの方々も、いきいきと、自分らしく活躍できるのが安倍政権の目指す「1億総活躍」社会である。LGBTであることが自然に受け入れられていない現状を改善し、多様性ある社会をつくっていくのが自民党の考え方だ。

 

そもそも、LGBTの理解増進と思想信条や歴史観とは何の関係もない。LGBTの方々への差別は人権問題だからだ。中には「保守の自民党が取り組むのはおかしい」といった意見も結構存在している。LGBTの方々への「レッテル貼り」をなくそうと活動している人たちが、なぜわれわれには「レッテル貼り」をするのだろうか。理解に苦しむと言わざるを得ない。 部落差別の解消を推進する法案も、議員立法で今国会成立を目指しているが、自民党は今後も、保守政党として、あらゆる差別の解消に向けた取り組みを強化していく。

(自民党政調会長・稲田朋美)

 

平成28年4月28日(木)夕刊フジ【伝統と創造】スピード感を重視した政府・与党の地震対応 早期の復旧、復興に向け全力

まず、熊本地震でお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、すべての被災者の方々にお見舞いを申し上げます。政府・与党一丸となって、早期の復旧、復興に向け全力を尽くしていきます。

安倍政権は今回、スピード感をもって対処にあたった。発生直後に2万5000人以上の自衛隊派遣を決定したほか、米国の協力を得て、海兵隊の垂直離着陸輸送機「オスプレイ」を初めて日本の災害支援に投入した。被害が大きい南阿蘇村に救援物資約20トンをスムーズに運べたことで、オスプレイの高い性能が証明されたと思う。安倍晋三首相が力を注いできた「日米同盟の深化」が、危機管理に結びついた好例といえよう。

自民党も地震発生翌朝から、地元選出議員らを現地入りさせ被害状況の把握に努めた。関係団体を通じた救援物資支援も継続中だ。地方組織のネットワークという自民党の強みを生かし、被災地のニーズを的確につかめるようにしたい。また、総務省は熊本市など県内の16市町村と熊本県に対し、普通交付税計421億円を前倒しして交付することを決めた。2016年度予算案の予備費活用をはじめ、財政面でも手厚い支援を行っていく。

メディアは今回の地震を受けて、政府・与党が消費税増税の延期に動いているかのように報じているが、党の政調の会議でも、先日開催した全国政調会長会議でも、誰からも「増税延期」という声は出ていない。自民党内で、増税延期を求める声が高まっているわけではない。今はとにかく、地震への対応を最優先すべき時である。まだ、来年4月の消費税増税の可否を決断する時期ではない。もちろん、経済を壊してまで増税することは避けなければならない。経済情勢を慎重に見定め、経済成長と財政再建を同時に達成するため、固定概念にとらわれることなくさまざまな選択肢を検討していくことが必要だ。

安倍首相も23日に現地視察されたが、24日には補正予算の編成を指示し、激甚災害指定も25日に指定された。政治の揺るぎない意志と行動を示し、熊本を応援してまいりたい。

今月の月例経済報告で、景気の現状について「熊本地震が経済に与える影響に十分留意する必要がある」との見解が示された。そのような中で伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)が開催されるが、議長国・日本が世界経済の浮揚にむけて指導力を発揮することが求められている。

党では、20年のGDP(国内総生産)600兆円の達成に向け提言をまとめた。今後は党の日本経済再生本部でマイナス金利を活用する政策を検討していく。大型連休明けからは、アベノミクスを確かなものにするため、「成長」と「分配」の好循環などを踏まえた参院選公約のとりまとめ作業に入る。衆院北海道5区の補欠選挙は接戦を制したが、アベノミクスの真価が問われる戦いに向け、政策で勝負していきたい。

(自民党政調会長・稲田朋美)

平成28年4月14日(木)夕刊フジ【伝統と創造】訪露緊急報告 想像以上に日本への関心が高く、親日家も多いロシア

今月3日から6日まで初めてモスクワを訪問した。今回の目的は3つ。まず、モスクワ国際関係大学で日本経済の再生やクールジャパンなど政権奪還後の安倍晋三政権の歩みと日本の魅力について発信してきた。多くの学生が聴講してくれ、女性活躍や、私の政治信条である「伝統と創造」と日露関係について質問が出た。

モスクワ国立大学では、サドーヴニチ総長と日本文化に興味を持っている日露の学生たちと意見交換した。コスプレをしたロシアの女子学生が、村上春樹氏とチェーホフの共通点について語ってくれた。ロシアでも日本のアニメや小説、文化が根付いているのがわかった。

2つ目は、議会関係者らとの交流だ。ロシアでは今秋13年ぶりに小選挙区選挙(半数は比例代表)が行われることになり、そのため6月には与党「統一ロシア」の候補者選定の予備選が行われる。選挙の透明性、公平性を図る目的というが、注視していきたい。議員交流などのなかで何度も話題になったのが、ウクライナの制裁についてだ。ちょうど6日には、日本でポロシェンコ大統領と安倍首相の首脳会談が行われたこともあり、関心は高かった。ウクライナ東部の和平プロセスを定めた「ミンスク合意」の履行について、ウクライナにも日本から働きかけることに意義あることを伝え、ロシアの積極的な行動を期待していることも伝えた。

3つ目は、日露にとって重要な年である今年の首脳対話の後押しである。マントゥロフ産業商務相に安倍首相からプーチン大統領に宛てた親書を手渡した。マントゥロフ氏とは、2月に訪日された際にも、日露経済協力についての意見交換をしたが、ロシアの日本企業の投資に対する期待の大きさを感じ、さまざまな具体的な提案もいただいた。

文化面でも、私は森喜朗元首相が名誉会長を務めておられたバレエ文化振興議連の会長をしているので、本場ロシアのバレエも鑑賞した。ロシアにおける日本人バレエ団監督の岩田守弘氏の活躍も話題になっていた。日本のバレエ人口は約40万人と裾野は広いが、人材育成の環境整備や相次ぐ劇場閉鎖による上演機会の喪失などまだまだ課題は多い。今回の訪露を日本バレエの振興につなげていきたい。

日露は隣国でありながら、知られていない部分も多い。今回感じたのは、想像していた以上にロシアの日本に対する関心は高く、親日家も多いということだ。特に若者世代が、両国の精神性における共通点に着目していることに心強い思いがした。

もちろん、課題も多い。私も今回、ロシアでのすべての会談で戦後70年平和条約が締結されていないことは異常であり、領土問題を解決するには首脳間の率直な意見交換の必要性を強調してきた。

今後ますます、東アジア・太平洋地域の平和と繁栄にとって日露の関係は重要性を増すだろう。

5月には安倍首相の非公式での訪露が予定されているが、適切な時期にプーチン氏の訪日が実現し、北方領土問題を含む日露首脳対話が前進することを強く期待する。

(自民党政調会長・稲田朋美)

平成28年3月31日(木)夕刊フジ【伝統と創造】共産党と組もうとする民進党 名前は変わっても体質は変わっていない

今年は米大統領選の年である。民主、共和両党の候補指名争いは山場を迎えており、民主党はヒラリー・クリントン元国務長官、共和党は不動産王のドナルド・トランプ氏が先行している。個々の候補者についてコメントすることは控えるが、今回の米大統領選は、予想を裏切る展開が続いている。

民主党では、クリントン氏が序盤から優勢であったものの、バーニー・サンダース上院議員の健闘ぶりが目をひいた。サンダース氏の、相手陣営を批判しない政策重視の姿勢には好感が持てる。共和党では、暴言ともとれる言動が目立つトランプ氏のこれほどまでの快進撃は、誰も予想できなかったはずだ。

これらの状況から見えてくるのは、米国民が従来型の政治家ではなく、閉塞感を打破し、強烈な個性を持った新しいタイプの政治家を求めているということだ。ただし、トランプ氏に関しては、共和党内だけでなく、国際社会から懸念の声が上がっている。

トランプ氏の外交観は「孤立主義」だ。日米同盟の必要性を軽視している発言も気になる。3月21日の米紙ワシントン・ポスト論説委員らとの会合では「なぜ日本が駐留経費を100%負担しないのか」「米国の利益にならない」などと主張したという。

トランプ氏が、事実関係を踏まえて発言しているかどうか疑わしいが、仮にトランプ氏が大統領になった場合、日米関係に影響が出てくる可能性も否定できない。米大統領選の動向については今後も注視していく必要があるが、今後日本でもきれい事や抽象論ではなく、物事の本質をとらえた力強い発信をする政治家が求められていく傾向は強まってくると思われる。

さて、3月27日に民主党と維新の党が合流し、「民進党」が結党された。個人的には、野党時代に衆院法務委員会で一緒だった山尾志桜里氏が、政調会長に抜擢されたことが印象的だ。当時から、簡潔で論理的な質問をされていた。今後は、民進党の政策責任者として国民のための建設的な政策を提言されることを期待している。しかしながら、民進党に対しては、厳しい評価をせざるを得ない。党名さえも自分たちで決められず、世論調査で決めるとは、議論はするが結局政策を何も決められなかった政権与党時代の民主党の体質が、まだ残っているようだ。

さらに「日米安保条約破棄」「自衛隊解消」を掲げる共産党と手を組もうとしているのも不可解だ。北朝鮮の核・ミサイル、中国の海洋進出という懸念すべき安全保障環境をみたとき、東アジア、太平洋地域においてどのようにして日本を守るつもりなのか。民進党が本当に政権を担うつもりがあるとは思えない。実現不可能な財源を掲げ、子ども手当や農家の戸別所得補償など国民を惑わし政権をとったのはわずか6年半前。政権を取るためなら何でもするという姿勢が、再び国民から支持されるとは思えない。名前は変わっても、本質は何も変わっていないようだ。 (自民党政調会長・稲田朋美)

平成28年3月17日(木)夕刊フジ【伝統と創造】看過できない国連女子差別撤廃委員会の認識 皇室典範への言及は不当極まりない

国連女子差別撤廃委員会が7日に発表した最終見解は、日韓合意を「被害者を中心に据えたアプローチを採用していない」などと批判し、元慰安婦への金銭賠償や公式謝罪を含む「完全かつ効果的な賠償」を求めた。

これは、日本の見解とはまったく相いれないものである。日本政府は今回、杉山晋輔外務審議官を派遣して、同委からの質問に答え、初めて「強制連行」「20万人」「性奴隷」は事実に反すると反論した。遅きに失したとはいえ、政府が初めて慰安婦問題の虚偽について事実に基づいた反論をしたことは大きな意義がある。ところが、同委はまったくこの日本の主張を踏まえず、世界が前向きに評価している日韓合意による「最終的かつ不可逆的解決」にも逆行する見解を出したことは看過できない。

さらに、11日、国連のザイド・フセイン人権高等弁務官が国連人権理事会での演説で、慰安婦について「先の大戦で日本軍による性奴隷制度を生き延びた人々」と述べたことは、いかに慰安婦に対して誤った認識が国際社会に蔓延(まんえん)しているかを示すものであり、暗澹(あんたん)たる思いだ。

四半世紀にわたって慰安婦についての誤った認識が世界に広がることに対し、日本政府が事なかれ主義で不作為に終始してきたなれの果てが今の憂慮すべき状況であるから、同様の年数をかけて虚偽を正していかなければならないことを覚悟すべきだ。

今回の国連見解で、驚愕(きょうがく)すべき見解が出される寸前で削除された。当初準備されていた見解では、皇室典範を「差別的規定」と決めつけ、「皇室典範を女系女子の皇族にも承継が可能となるよう皇室典範を改正すべき」とされていたのだ。

まず、今回の女子差別撤廃委員会において、皇室典範は議論の対象にすらなっていなかった。最終見解案の段階で突如、不意打ち的に出てきた。これは、わが国の反論権を全く無視した民主主義の手続きに違反した不当極まりないやり方だ。

さらに、その内容もわが国の2000年以上の歴史と伝統の上に不文法の時代から定められ、受け継がれてきた皇室のあり方という国柄そのものに直結する事項であり、男女平等や差別という問題とは次元を異にする。なぜこのような見解が示されようとしたのか、国連の手続きの問題点も含め、党の特命委員会で検証することにした。

最後に私事であるが、週刊誌を名誉毀損で訴えていた裁判が大阪地裁で棄却された。私についての「在特会(在日特権を許さない市民の会)と近い距離が際立つ」という表現は私の社会的名誉を毀損するが、それは「事実を摘示」したのではなく、「論評」だから違法性がないというのだ。私は在特会と何の関係もなく、接触したこともされたこともない。「近い距離」という表現は「何らかの関係がある」という「事実」を含む表現であり、このような悪意に基づく虚偽を許すことはできず、控訴審で争うつもりだ。

(自民党政調会長・稲田朋美)

平成28年3月3日(木)夕刊フジ【伝統と創造】政治をバカにしている「民維合流」大企業は賃上げの努力を

民主党と維新の党が合流し、新党を結成することになったらしい。そもそも、維新の党の代表も幹事長も、民主党を「除名」されているが、どういう大義で「除名」した人々と「復縁」するのか、何がしたいのか国民に説明すべきだ。今から党名や党の綱領を考えるらしいが、「除名者」と「復縁」して「看板かけ替え」て、何をやるかはこれからというのは、あまりにも政治をバカにしている。単に選挙に勝ちたいがために所帯を大きくし、国民の信頼を失った「民主党」という看板をかけ替えたいだけの「野合」は、ますます政治不信をまねくだけだ。

さて、国会では来年4月に予定されている消費税増税をめぐる議論が活発となってきた。

安倍晋三首相は2014年秋、消費税増税を17年4月に延期することを決断した。景気条項を削除し、「リーマン・ショックや東日本大震災のような重大な事態が発生しない限り、1年半後には増税する」という不退転の決意で衆院を解散し、国民の支持を得た。言うまでもなく、この方針は今も変わっていない。20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化し、社会保障改革を実行するためには、消費税増税は避けて通れない。

そこで、現在の経済情勢を悲観的に見る向きがあるが、アベノミクスにより、日本経済は確実に再生している。しかし、道半ば、中国経済の減速や中東情勢の不安など外的要因の影響は注意深く見守る必要がある。一部で補正予算を求める声も出ているようだが、現時点でそういう状況にあるとは思えない。今、最優先で取り組むべきは、15年度補正予算を早急に実施し、16年度予算案を早期に成立させることだ。さらに、落ち込んでいる個人消費を回復させることだ。14年4月の消費税増税による落ち込みからまだ回復していない。そのために必要なことは賃金の上昇である。

残念なことに、大手銀行などで、ベースアップの要求を見送る動きが相次いでいる。日銀のマイナス金利政策による収益悪化を懸念しているといわれているが、あまりにも過剰反応だ。

そもそも、当座預金約260兆円のうち、マイナス金利が適用されるのは約10兆円である。一部の信用金庫では、国民の不安を払拭するために、むしろ預金金利を引き上げる動きも出ている。大企業は賃金を上げ、国民の購買意欲を高め、民間投資を増やす方向に努力してほしい。

大切なことは金融緩和だけで日本経済は再生しないということだ。アベノミクス3本の矢の2本目、3本目もしっかり推し進める必要がある。効果のある事業に財政出動し、大胆な改革を進めることで、日本経済の潜在成長力をしっかりと上げていく骨太の政策を党内で議論していきたい。 (自民党政調会長・稲田朋美)

一方、日本経済が壊れてもなお、増税をするというのは本末転倒。そのような場合に消費税増税の延期を検討するのはむしろ、当然である。

 

 

平成28年2月18日(木)夕刊フジ【伝統と創造】世界経済大変動もアベノミクス推進は不変 デフレ脱却に向かって前進

「育休」取得を宣言していた宮崎謙介氏が、不倫の事実を認めて議員辞職した。宮崎氏は記者会見で「人間としての欲が勝った」などと釈明したが、結局、育休取得は何だったのか、と言わざるを得ない。非常に残念である。わが党の衆院議員のうち、約4割は2012年初当選組である。彼ら彼女らは、幸か不幸か、厳しかった野党時代を知らない。

一方で、われわれ野党経験組は、政権から転落し、地獄を見た。民主党が崩れていく様子もつぶさにみてきた。政党・政治家は、常に緊張感を持ち、謙虚でなくてはならない。わが党の若手も宮崎氏の例を他山の石としてほしい。

さて、日本経済の先行きを不安視する声が出てきている。日銀が、わが国では初めてマイナス金利付き量的・質的緩和を決定し、デフレからの脱却とアベノミクスの後押しになることを期待したのだが、先週は株価が大幅に下落し、円高も急速に進んだ。しかし、株価や為替の変動に一喜一憂することなく、世界の経済状況を分析しつつ、世界経済に影響されることのない、強い経済、日本経済の再生のための改革を進めていくことが必要だ。

私は、日銀のマイナス金利政策は間違っていないと思っている。ここで改めて強調したいのは、アベノミクスの推進という政策軸は、今後も不変だということだ。政権奪回後、安倍政権の3年で、実体経済をみれば、企業収益は過去最高、有効求人倍率は47都道府県で上昇して過去23年で最高、110万人以上の新たな雇用が生まれるなど、着実に日本経済の足腰は確かなものになってきている。

今回の円高、株価下落は中国経済の減速、中東情勢の不安、原油安などが原因だとされているが、円高は、日本の通貨に対する信頼のあらわれであり、資材を輸入している地方の中小企業にとってはありがたいことでもある。原油安は、エネルギーを輸入に頼っているわが国経済にとって大きなメリットともなっており、市場の動きに右往左往する必要はない。

もちろん、アベノミクスは道半ば、デフレからの脱却もまだ完全とはいえない。その意味で今年は日本経済の正念場になる。デフレマインドに後戻りすることなく、世界経済の大変動のなかで、産業構造改革と雇用改革、人材育成を大胆に進めていかなければならない。小手先の政策では追いつかないという時代認識が必要である。

今月下旬には、中国・上海で20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。各国と緊密に連携、協調していくことが重要だ。

繰り返しになるが、アベノミクスを推進する姿勢に変わりはない。日本経済は着実にデフレ脱却に向かって前進している。正念場を迎えた日本経済の真の強化のために、政府・与党一丸となって予算案の早期成立や雇用などの根本的な改革に邁進(まいしん)していきたい。

(自民党政調会長・稲田朋美)

 

平成28年2月4日(木)夕刊フジ【伝統と創造】性的少数者の議論に「保守」も「リベラル」も関係ない

アベノミクスの立役者である甘利明氏が、経済再生担当相を辞任された。非常に残念である。後任の石原伸晃氏は、自民党中小企業・小規模事業者政策調査会会長として、全国の中小企業にアベノミクスが行き渡るように知恵を絞ってこられた。その識見をぜひ生かしていただきたい。活躍を期待している。

経済政策は待ったなしである。デフレ脱却を目指す安倍政権は、正念場を迎えている。日銀も1月29日、マイナス金利の導入に踏み切った。国会では2016年度予算案の審議に遅れが生じている。政府・与党一丸となって早期成立を図りたい。

経済だけではない。自民党は現代社会が抱える喫緊の課題にも対応している。今月中には、昨今、ようやく議論されるようになってきたLGBT(性的少数者)に関する特命委員会を正式に発足させる。

この問題を考える上での基本は、「すべての人々が生まれながらに置かれた境遇や身体的状況よって差別されることがあってはならず、すべての人々にチャンスが与えられる社会を作らなければならない」ということだ。「ゲイ」「レズビアン」と呼ばれるLGBTの人々については、これまで性に絡む問題ということもあり、特に政治の場では議論自体がタブー視されてきた。

しかし、「1億総活躍社会」の実現を掲げる安倍政権こそが、この問題に正面から取り組まなければならない。

私がLGBTをめぐる問題に言及すると、保守派の支援者からは驚かれることが多いが、LGBTの議論に「保守」も「リベラル」も関係ない。「保守」は多様性を重んじるものだ。LGBTの関連団体も数多くあり、いろいろな考え方を持っておられるようだが「自民党には話を聞いてもらえない」というのではよくない。LGBTの人々がどのような困難に直面しているのか、どのような対応があるのか、社会制度との整合性についてもさまざまな議論があるはずだ。特命委員会には、まずはしっかりとした実態調査を行ってもらい、具体的な議論を進めてほしい。

さて、今年に入ってから、新たな挑戦を開始した。それはクラリネットの練習である。

先月中旬、クラリネット愛好家である古屋圭司・党北朝鮮による拉致問題対策本部長と一緒に都内の楽器店に足を運び、クラリネットを購入した。古屋氏をはじめ、専門家にも習い、5月には童謡「ふるさと」を吹けるようになるのが目標だ。

大学時代には一時オーケストラに所属したこともある。時間をみつけて少しでも毎日練習したい。目標はラベルの「ボレロ」だが、まずは海外出張の際に日本の歌をクラリネットで演奏できるようになりたい。

(自民党政調会長・稲田朋美)

 

平成28年1月21日(木)夕刊フジ【伝統と創造】核実験、拉致を平然と行う国…われわれは決して目をそらしてはいけない

北朝鮮が核実験を行った。国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であり、断じて容認できない。国連安全保障理事会による強力な制裁決議の採択を目指し、国際社会が一致したメッセージを出すことが何よりも大事だ。日本は今年から安保理の非常任理事国である。積極的に議論をリードしていきたい。

北朝鮮は、核兵器に対しては特別な思いで開発しているようだ。昨年夏以降、プルトニウムの抽出や核実験場でのトンネル掘削工事などを実施しており、兆候はもともとあったといえる。日本海を隔てた向こうに、核実験や弾道ミサイル開発を堂々と進め、日本人の拉致を平然と行ってきた国がある。この厳然たる事実からわれわれは決して目をそらしてはいけない。

昨年末、慰安婦問題をめぐり、日韓両政府は「最終的かつ不可逆的に解決」することで合意した。日韓が未来志向の関係を結ぶことは東アジアの安定につながる。今回の合意は、北朝鮮の核実験直前となったが、結果的にいいタイミングだったと思う。

今後は、防衛秘密を共有するために必要な日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結を急ぐべきだ。民主党政権時代の2012年に交渉が途絶えたが、安倍政権として前に進めていきたい。北朝鮮の脅威に対する「備え」になるのは間違いない。

拉致問題に関しては、自民党の拉致問題対策本部(本部長・古屋圭司衆院議員)が昨年6月に提言をまとめている。14年7月に日本政府が解除した制裁措置のすべてを再び科し、送金停止などの制裁をさらに強化する内容だ。政府・与党はこの提言に基づいて、拉致問題に対応していく。北朝鮮は日本との協議の中で、拉致被害者の再調査を行うと言っていたが、全く約束を履行しなかった。そのような国に対しては圧力をかけていくしかない。

さて、わが党の宮崎謙介衆院議員が取得を表明した「育児休業」が話題となっている。安倍政権が重視する「女性活躍」や「男性の育児参加」を議論するきっかけとなった意味では、宮崎氏の発言には大きな意義があった。

ただ、国会議員は普通のサラリーマンとは異なり、『一国一城』の主である。いわば「経営側」「事業者側」の立場にあるのが実態だ。勤労者と同様に育休を取得するというのは国民の理解を得にくいのではないか。

国会では、15年度補正予算案などの審議が行われているが、残念ながら野党の「揚げ足取り」質問が目立つ。安倍首相の発言を曲解したり、本質的ではない部分を批判しているが、もう少し実のある議論をしてほしい。

(自民党政調会長・稲田朋美)

 

平成28年1月7日(木)夕刊フジ【伝統と創造】政策で結果を出す1年「慰安婦問題」合意は東アジアの利益

明けましておめでとうございます。通常国会が4日に召集され、永田町は「おとそ」気分に浸ることなく、2015年度補正予算案の審議に入った。今国会では、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連の条約なども議論することになる。政府・与党一丸となってこの国会に臨んでいきたい。

さて、昨年12月28日、日韓最大の課題である「慰安婦問題」について歴史的な合意がなされた。今回の合意により、日本は予算10億円で基金を創設し、元慰安婦を支援する。韓国はソウルの日本大使館前の慰安婦像の撤去について努力することで合意し、それにより「慰安婦問題」が「最終的かつ不可逆的に解決」されることとなった。

東アジアの安全保障において、韓国が担う役割は重要だ。今後は日韓の安全保障上の協力を進めていくべきである。北朝鮮の核・ミサイルに関する対話、地域情勢に関する対話、一度韓国側の事情で進まなかったインテリジェンス協力、エネルギー対話を進めるための環境が整ったといえるからだ。今回の合意は単に日韓のみならず、東アジア全体の利益につながるのだ。

昨年を振り返ると、安倍晋三政権はアジア太平洋地域をめぐる安全保障、経済の両分野で大きな成果を残した。平和安全法制の成立と、TPP大筋合意により、この地域に安全保障でも経済でも「法の秩序」を確立する重要な布石を打ったといえる。自民党としても、この困難な2つの課題に政府・与党一体で取り組み、成果を出せたと自負している。今年も「責任ある改革政党」として、政策で結果を出していきたい。

今年は参院選を控えた非常に重要な年である。1月24日には沖縄県宜野湾市長選、4月24日には衆院北海道5区の補欠選挙もある。安倍政権として、ひとつひとつ、確実に勝利しなければならない。

参院選の公約づくりも本格化させる。公約の骨格は、やはり経済政策だ。

株価をみればアベノミクスの経済効果は歴然としており、税収も増え続けている。国民の「デフレマインド」も克服に向かっている。アベノミクスは第2ステージに入っており、安倍首相が提唱した「新3本の矢」を着実に実行していかなければならない。決めるべきことをきちんと決めていく−これが安倍政権だ。参院選に向け、政権の決断力、実行力をしっかりアピールしていきたい。

課題は山積している。2017年の消費税10%への引き上げと同時に導入する軽減税率に関しては、6000億円の恒久財源を16年度中に見つけなければならない。一方、財政再建も待ったなしだ。安倍内閣が昨年6月に閣議決定した「骨太の方針2015」では、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の目標を掲げた。財源確保と財政再建はいずれも難題だが、歳出・歳入改革を加速させ、改革政党として結果を出していきたい。

(自民党政調会長・稲田朋美)