平成28年3月31日(木)夕刊フジ【伝統と創造】共産党と組もうとする民進党 名前は変わっても体質は変わっていない

今年は米大統領選の年である。民主、共和両党の候補指名争いは山場を迎えており、民主党はヒラリー・クリントン元国務長官、共和党は不動産王のドナルド・トランプ氏が先行している。個々の候補者についてコメントすることは控えるが、今回の米大統領選は、予想を裏切る展開が続いている。

民主党では、クリントン氏が序盤から優勢であったものの、バーニー・サンダース上院議員の健闘ぶりが目をひいた。サンダース氏の、相手陣営を批判しない政策重視の姿勢には好感が持てる。共和党では、暴言ともとれる言動が目立つトランプ氏のこれほどまでの快進撃は、誰も予想できなかったはずだ。

これらの状況から見えてくるのは、米国民が従来型の政治家ではなく、閉塞感を打破し、強烈な個性を持った新しいタイプの政治家を求めているということだ。ただし、トランプ氏に関しては、共和党内だけでなく、国際社会から懸念の声が上がっている。

トランプ氏の外交観は「孤立主義」だ。日米同盟の必要性を軽視している発言も気になる。3月21日の米紙ワシントン・ポスト論説委員らとの会合では「なぜ日本が駐留経費を100%負担しないのか」「米国の利益にならない」などと主張したという。

トランプ氏が、事実関係を踏まえて発言しているかどうか疑わしいが、仮にトランプ氏が大統領になった場合、日米関係に影響が出てくる可能性も否定できない。米大統領選の動向については今後も注視していく必要があるが、今後日本でもきれい事や抽象論ではなく、物事の本質をとらえた力強い発信をする政治家が求められていく傾向は強まってくると思われる。

さて、3月27日に民主党と維新の党が合流し、「民進党」が結党された。個人的には、野党時代に衆院法務委員会で一緒だった山尾志桜里氏が、政調会長に抜擢されたことが印象的だ。当時から、簡潔で論理的な質問をされていた。今後は、民進党の政策責任者として国民のための建設的な政策を提言されることを期待している。しかしながら、民進党に対しては、厳しい評価をせざるを得ない。党名さえも自分たちで決められず、世論調査で決めるとは、議論はするが結局政策を何も決められなかった政権与党時代の民主党の体質が、まだ残っているようだ。

さらに「日米安保条約破棄」「自衛隊解消」を掲げる共産党と手を組もうとしているのも不可解だ。北朝鮮の核・ミサイル、中国の海洋進出という懸念すべき安全保障環境をみたとき、東アジア、太平洋地域においてどのようにして日本を守るつもりなのか。民進党が本当に政権を担うつもりがあるとは思えない。実現不可能な財源を掲げ、子ども手当や農家の戸別所得補償など国民を惑わし政権をとったのはわずか6年半前。政権を取るためなら何でもするという姿勢が、再び国民から支持されるとは思えない。名前は変わっても、本質は何も変わっていないようだ。 (自民党政調会長・稲田朋美)