平成28年4月14日(木)夕刊フジ【伝統と創造】訪露緊急報告 想像以上に日本への関心が高く、親日家も多いロシア

今月3日から6日まで初めてモスクワを訪問した。今回の目的は3つ。まず、モスクワ国際関係大学で日本経済の再生やクールジャパンなど政権奪還後の安倍晋三政権の歩みと日本の魅力について発信してきた。多くの学生が聴講してくれ、女性活躍や、私の政治信条である「伝統と創造」と日露関係について質問が出た。

モスクワ国立大学では、サドーヴニチ総長と日本文化に興味を持っている日露の学生たちと意見交換した。コスプレをしたロシアの女子学生が、村上春樹氏とチェーホフの共通点について語ってくれた。ロシアでも日本のアニメや小説、文化が根付いているのがわかった。

2つ目は、議会関係者らとの交流だ。ロシアでは今秋13年ぶりに小選挙区選挙(半数は比例代表)が行われることになり、そのため6月には与党「統一ロシア」の候補者選定の予備選が行われる。選挙の透明性、公平性を図る目的というが、注視していきたい。議員交流などのなかで何度も話題になったのが、ウクライナの制裁についてだ。ちょうど6日には、日本でポロシェンコ大統領と安倍首相の首脳会談が行われたこともあり、関心は高かった。ウクライナ東部の和平プロセスを定めた「ミンスク合意」の履行について、ウクライナにも日本から働きかけることに意義あることを伝え、ロシアの積極的な行動を期待していることも伝えた。

3つ目は、日露にとって重要な年である今年の首脳対話の後押しである。マントゥロフ産業商務相に安倍首相からプーチン大統領に宛てた親書を手渡した。マントゥロフ氏とは、2月に訪日された際にも、日露経済協力についての意見交換をしたが、ロシアの日本企業の投資に対する期待の大きさを感じ、さまざまな具体的な提案もいただいた。

文化面でも、私は森喜朗元首相が名誉会長を務めておられたバレエ文化振興議連の会長をしているので、本場ロシアのバレエも鑑賞した。ロシアにおける日本人バレエ団監督の岩田守弘氏の活躍も話題になっていた。日本のバレエ人口は約40万人と裾野は広いが、人材育成の環境整備や相次ぐ劇場閉鎖による上演機会の喪失などまだまだ課題は多い。今回の訪露を日本バレエの振興につなげていきたい。

日露は隣国でありながら、知られていない部分も多い。今回感じたのは、想像していた以上にロシアの日本に対する関心は高く、親日家も多いということだ。特に若者世代が、両国の精神性における共通点に着目していることに心強い思いがした。

もちろん、課題も多い。私も今回、ロシアでのすべての会談で戦後70年平和条約が締結されていないことは異常であり、領土問題を解決するには首脳間の率直な意見交換の必要性を強調してきた。

今後ますます、東アジア・太平洋地域の平和と繁栄にとって日露の関係は重要性を増すだろう。

5月には安倍首相の非公式での訪露が予定されているが、適切な時期にプーチン氏の訪日が実現し、北方領土問題を含む日露首脳対話が前進することを強く期待する。

(自民党政調会長・稲田朋美)